2024.3.1
その一歩が変われるきっかけになる。
宮崎県立飯野高等学校 早川さん
宮崎県立飯野高等学校は、全国のプレゼン大会でも多くの受賞実績のある学校で、一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームとともに、みらいハイスクール構想実現に向けた初年度モデル校のひとつでもあります。国内単年留学を利用し、千葉県の高校から飯野高校に高2留学する早川くんは、1年間の留学中に様々な体験をしたといいます。どのような経験をしたのか、その経験の中でどのような成長があったのか、早川くんにお話を聞き、その物語を紐解きます。
飯野高校の生徒のプレゼンを聞いたとき、話す力が凄いと思った
—まず、飯野高校へ高2留学した背景を教えて下さい
在籍校で、国内単年留学のチラシが配られたことがそもそものきっかけです。もともと内向的な性格だった自分を変えたいと思っていて、変わるきっかけになるのではないかと感じ、挑戦してみようと決断しました。また、中学から高校1年生までは、学力が高いことがかっこいいと思っていましたが、飯野高校の行う探究活動に関心を持ち、自分もやってみたいと思えたことも大きいです。実際に飯野高校に行ったときに、生徒がプレゼンをしてくれたのですが、話す力が本当にすごいと感じ、自分にはないスキルで、是非身に着けたいとも思いましたね。
—まもなく、1年の留学期間が終わろうとしていますね。1年を振り返ってみて、率直にいま何を感じますか。
留学を決心したときは、やるぞという気持ちがありました。しかし、いざ留学が始まるときには、寂しい気持ちや不安が押し寄せてきたことをよく覚えています。どちらかといえば、ネガティブな感情からの留学スタートでしたね。4、5月はコンビニに行くのすら億劫な気持ちになるくらい、外に出ることに抵抗感がありました。それでも、日が経つにつれて、何もしていない自分に「何しに来たんだ」という感情が湧いてくるようになりました。一緒に飯野高校に来ていたもう1人の留学生の挑戦的な姿に感化され、ボランティアや地域活動に取り組むようになっていきました。今では、えびの市を離れることが本当に寂しいですね。
—この1年間で自身に感じた変化や成長というものはあるでしょうか。
とにかく挑戦してみようというマインドになれたことが一番大きい成長だと思っています。夏以降、地域の大人と接する機会が増え、自分に興味をもって話しかけてくれることに嬉しさを覚えました。親しい大人が増えたことで、「地域での仕事」というものにも関心が湧くようになったことも変化だと思います。
同じ講義を受けても、みんな感じることが違う面白さに触れた
—続いて、高2留学中にオンライン探究プログラム「地域みらいキャリア」に参加した経緯を教えて下さい。
えびの市での生活の中で、地域での仕事に関心が湧いてくるようにはなっていましたが、まだまだ自分の将来の夢というものに対しては、イメージがつかない日々が続いていました。そんな時に、飯野高校の梅北先生にプログラムの紹介をしてもらい、将来の夢が見つかるきっかけになればと考え、参加に至りました。オンラインで色んな大人と出会い、様々な働き方を知り、自分のキャリア観を見つめることができるということだったので、楽しみに受講しました。
—実際に参加してみて、どうでしたか。
講師で出てこられた、福井県議員の藤本さんが仰られていた「何かを始めることは簡単。だけど、積み上げてきたものを捨てたり辞めたりすることは本当に難しい」という言葉がすごく印象的でしたね。
半年間オンラインで講義やグループワークをやった後、1月に初めてみんなで会って発表会をしたんですが、そこでみんなの発表を聞いたときに、地域みらいキャリアを通じて、みんな同じことをやってきたのに、みんな全然違う発表になっていたことに面白さを感じました。「働く」ということに対する考え方にも個性があることがわかり、興味深くみんなの発表を聞いていましたよ。
—地域みらいキャリアでの経験を通して、将来についてどのように考えるようになりましたか。
はじめにもお話ししたのですが、これまでは学力がすべてで、偏差値の高い大学に行くことが良いことだと思い込んでいました。でも、地域みらいキャリアを通して、地域で働いている中で、自分の「やりがい」を大切にしている方々のお話をたくさんきことができたことで、自分自身もそういう生き方ができるように進路やキャリアの選択していきたいと思うようになりました。「地域で働く」ということにもより興味が湧いてきたし、いつか今回の仲間たちと一緒に、地域みらいキャリアの講師になって後輩の前で登壇したいなとも思いますね。
変わることができた自分を大切にしていきたい
—国内単年留学と地域みらいキャリアに挑戦したこの1年の中で、このほかにも何かチャレンジされたことはありますか。
実は、この1年の間に宮崎県の仕組みを使って、フィジーへの海外留学も経験しているんですよ。もう1名の留学生が台湾研修に挑戦していた姿を見て、負けていられないと思って、チャレンジしてみました。今思えば、国内単年留学に来ていなかったら、海外に行ってみようとは絶対に思いませんでしたね。海外は怖い印象が強くて、そもそも興味すら無かったんですよ。挑戦する仲間が身近にいるということは大きいなと思います。この経験があったからこそ、ほかの国にももっと行ってみたいと思うし、色んな国の人と交流したいという思いも強くなってきています。
—国内単年留学と地域みらいキャリア、さらには海外留学も経験した、凄く濃い1年を過ごされましたが、4月に千葉に戻ったときにどうありたいと思いますか。
この1年、本当に濃い経験ができたと思っています。そして大きく変われたとも。1年前の自分に戻ってしまわないよう、良い変化を失わないよう、変わることができた自分を大切にしていきたいと思っています。色んなことにチャレンジする姿勢を継続していきたいですね。
—最後に、今後、様々なチャレンジ環境がある飯野高校へ留学や入学を考える後輩にメッセージはありますか。
最初は行くかどうか本当に悩んだし、この留学で何か変わることができるのだろうかと不安が多くありました。でも、決断してしまえば、その決断をするという大きな一歩が、自分を変えられるきっかけになるんだということを確信しています。自分自身が変われたことに正直驚きなくらいです。だから「変わりたい」「人と違うことに挑戦してみたい」そうした人には是非踏み出してほしくて、えびの市・飯野高校に来てほしいなと思います。
また、海外留学とどちらにするか悩む生徒もいるかもしれません。海外はハッと驚かされることも多くあると思いますが、国内でも知らないことって沢山あると思うんですよね。国内での地域による文化や価値観の違いに触れてみるのもいいんじゃないでしょうか。