ちょっとだけ大人になれた気がする
島根県立隠岐高等学校 土築さん
島根県立隠岐高等学校はみらいハイスクール構想の初年度モデル校となり、単年留学と短期越境プログラムの受入れ、そして生徒の送り出しに積極的に参加。隠岐の島町出身で隠岐高校1年の土築さんは、短期越境プログラムの受入れプロジェクトに参加し、その後、宮崎県立飯野高等学校への短期越境プログラムにも挑戦しています。そんな土築さんに、各プログラムに参加してみてどう感じているのか、インタビューをしてみました。(取材・編集:小谷 祐介)
短い期間でも芽生える友情
—短期越境プログラムの受入れプロジェクトを振り返ってみてください
大阪の四條畷学園高校、東京の新渡戸文化高校、北海道の大空高校、宮崎の飯野高校から、地域みらい旅を利用して、隠岐に生徒が来てくれました。私と同じ高校1年生が来てくれるということで、来年の高2留学で隠岐に来てくれることに繋がればいいなと思い、私自身もこの受入れプロジェクトに参加しました。
実際に参加してみると、隠岐の島出身でもやったことがないことに一緒に挑戦できて、参加した意味があったと感じています。特に蕎麦打ち体験が印象的で、普段何気なく食べているけど、作る過程を体験するのは初めてでした。水の量の調整など繊細な工程があるんだなということがわかって興味深かったですね。
—受入れを通して、何か自分に変化はありましたか?
私自身、すごく人見知りで、人を見た目で判断してしまうことが多かったんですよね。でも、今回初めて会う他校の生徒たちと、直接かかわることで自分の想像していたこととは全然違うということが分かりました。2泊3日という短い期間の中でも、一緒に島親さんの家に泊まって、恋バナをしたり、濃い時間を過ごすことで、別れの時には涙を流してくれる人がたくさんいるくらい、友情が芽生えるんだなと感じています。
来年は隠岐高校が高2留学の受入れをすることになると思うので、今回の経験を活かして、来てくれる生徒に楽しんでもらえるように、隠岐の島ならではの体験を準備したいと思います。
初めての中国地方外へ、そして次は一人旅を
—では次に、飯野高校への短期越境プログラムに参加してみてどうでしたか?
国内単年留学の受入れを隠岐高校はやっているので、1年間の国内留学制度があるのは知っていたけど、短い期間でも国内留学に挑戦できるのはいいなと思って参加しました。隠岐高校で行ったプログラムとは違って、町の活性化のためのフィールドワークをしたことが印象的でした。自分たちで行き先やインタビュー先も決めて、町の課題を見つけ、解決案を発表したことは印象的です。
同じ田舎でも、えびの市と隠岐の島町では特色や課題にも違いがあることがわかったのは大きかったですね。ここで得たことを隠岐の島町の活性化につなげられるといいなと思います。
—短期での越境に挑戦してみて自身に変化はありましたか?
実は私にとって、初めて中国地方の外に出る体験でした。不安もあったけど、しっかり計画を立てて進めることで、案外予定通り進められるということが分かり、行ったことのないところへ行ってみるということへのハードルが下がった気がしています。今回は隠岐高校から私含め2名で参加したからこその安心感もあったと思っているので、次回は自分一人で旅に挑戦してみたいと思っています。おいしいものを食べたりすることが好きで、特にお漬物が好きだったりするので、興味があるのは、京都一人旅ですね。この短期留学を経験していなかったら、絶対に自分一人で京都に行ってみたいとは思わなかったと思います。でも、この挑戦のおかげで次へのチャレンジ意欲が高まりました。
ちょっとだけ大人になれた
—2つの地域みらい旅を通して、土築さんにとって、旅や留学の魅力とは何と感じますか?
外の人たちと交流したり、外に行ってみることで、ほかの地域のことを知ることができることとともに、地元のこともより深く知ることができると感じます。そして、初めての経験と出会いがある中で、ちょっとだけですけど大人になれるのかなと思っていますね。旅や留学では普段かかわりがないような多くの大人と接することがあります。大人と接するときに、自分の意見よりも、相手のことを敬うことが重要だと思っていたけど、自分の思っていることを伝えてもいいんだなと思えるようなりました。これも旅をして得られた大きな財産だと思っていて、飯野で「私はこう思います」と伝える経験ができたことが大きいですね。
—この経験が進路や将来になにか影響は与えたでしょうか?
将来の夢自体は変わっていません。隠岐の島に戻ってきて、中学校の教師になりたいと思っています。でも、その教師になったときに、生徒に伝えたいことに変化がありました。今回、心に思っていたやりたいことに思い切って挑戦できたことで、将来の生徒たちにも「やりたいことにはどんどん挑戦していいんだよ」と、そう伝えられる先生になりたいと思えるようになりましたね。
—最後に、隠岐のみんなとそして将来の後輩にメッセージを
隠岐のみんなに伝えたいことは、これまで影ながら支えてきてくれてありがとうということ、そしてこれからは私たちが支え、頑張っていくよと伝えたいですね。
隠岐高校への入学や留学を考えている後輩には、隠岐には島ならではの沢山の魅力があって、良いところだらけなので、ぜひ一緒にさらに隠岐をよくしようねと伝えたいし、実際に一緒に隠岐の島での日々を楽しみたいと思っています。