みらいハイスクール

2024/5/1

生き物と人との出会いを追いかけ旅する高校生に聞く

島根県立島根中央高等学校　大河さん

　島根県立島根中央高等学校は一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームと協働し、みらいハイスクール構想実現に向けた初年度モデル校です。地域みらい留学3年進学や国内単年留学の生徒受入れ、そして地域みらい旅や国内単年留学への生徒送出しも行います。現在、島根中央高校1年の大河くんは、地域みらい留学を利用し、東京から島根中央高校にやってきました。大河くんは島根中央高校のある川本町での生活のみならず、地域みらい旅や国内単年留学への挑戦にも積極的。日本中を飛び回る大河くんに、留学生活や旅の話、将来について話を聞いてみました。（取材・編集：小谷祐介）

地域みらい留学で東京から島根県川本町へ

—そもそも地域みらい留学をしようと思ったきっかけを教えてくれますか？

　もともと、動物や虫などの生き物が好きで、生き物と身近にいられる高校生活を送りたいと思ったことがきっかけです。沢山の地域みらい留学校がある中、島根県に良い意味での“田舎”のイメージを持っていて、島根県から留学先を選ぼうと思っていました。その中で、島根中央高校のある川本町を訪れた際、町を江の川という大きな川が縦断している環境を目の当たりにし、素直にここがいいなと感じましたね。

—実際に約1年、川本町で過ごしてみてどうですか？

　東京よりいいなと思うし、楽しいですね。夏は江の川でイカダを作ったり、山に行って虫を捕まえたり、冬は雪も沢山降ります。秋はカメムシがすごかったりもするんですけど、虫が好きなので、自分の机にきたカメムシを眺めて一緒に遊んでいる気分になったりしてますよ。夏に作ったイカダは、地元の友達に見せても良いリアクションが返ってきて、気分が良かったですね。

　島根中央高校は留学生も多くて、よく一緒にいるメンバーは、福岡県・島根県・埼玉県・神奈川県と出身も様々です。小学校を改修した寮は快適で、体育館があるので、そこで遊ぶことも楽しみのひとつですよ。

日本中を飛び回る高校1年生

—そんな川本町での留学生活の中、山形県遊佐町・遊佐高校への地域みらい旅にも挑戦しましたね。

　遊佐町は、地元や川本町と違って、海があったのが印象的で最高でした。遊佐のコーディネーターの藤川さんもすごく素敵な方で、楽しい短期越境生活を送ることができましたね。実はこの遊佐町への短期越境がきっかけで、旅したい欲がとても高まったんです。遊佐町から川本町に戻った後、高知県高知市・和歌山県串本町・三重県尾鷲市・愛知県名古屋市などに旅をしました。

—すごいですね。旅の印象的だったシーンを教えてくれますか？

　高知には一人で旅に行ったんですけど、ここで初めてのヒッチハイクに挑戦したんです。人とかかわることが好きで挑戦してみたんですけど、乗せてくださる方は皆さん紳士的で、特に驚いたのは、土佐町の町長さんに乗せてもらったことです。串本への旅の時にもヒッチハイクをしたのですが、会社経営やバー経営をされている方に乗せてもらうことができ、普段は話せないような大人の方と話せたことで、人生知識が増えたと思います。尾鷲では釣りもして、その地域ならではの海洋環境と魚に触れることができて、良かったですね。

次は国内単年留学を利用した高2留学へ

—旅を沢山経験して、次は国内単年留学への挑戦が決まっていますね。

　これまでも沢山の生き物に出会ったのですが、中国地方の生き物と東北地方の生き物は違うと思うんですよね。だから、その違いを見て感じてみたいと思い、山形県の小国高校に高2留学することにしました。高知県の嶺北高校と迷ったのですが、今回いろいろ旅をしたことで、中国地方と東北地方の移動・行き来も楽しそうだなと思ったことも決め手のひとつです。小国町では、東北地方ならではの生き物と触れ合うことはもちろん、第一次産業をやられている方と話をしてみたいですね。生き物を見て、人と喋って、その中で知識が増えると人生楽しくなると思っています。色んな価値観や文化、考え方との出会いが楽しみです。

—国内単年留学を終えると、高校3年生になり、進路と向き合う時期がきますね。現時点での考えを聞かせてください。

　将来はインドネシアで林業をしたいと思っています。もしくは、生物調査員もいいなと考えていますね。インドネシアがいいというのは、インドネシアの生き物に関心があるからです。その将来のためにも、林業や生物のことが学べる大学を探したいと思っています。地域みらい留学で寮生活の楽しさを知ったので、寮があってできれば田舎の地域にある大学だとなお嬉しいですね。

　近い将来でいうと、いくつか旅をしたい場所もあって、今回の能登での震災を見て、能登地域でボランティア活動ができるようになったら、ぜひ行って力になりたいと思っています。国内単年留学では、せっかく東北に行くので、青森のねぶたなど、各地の祭文化にも触れてみたいです。

地元の良さにも気が付いた

—最後に、地域みらい留学や地域みらい旅に挑戦する後輩たちにメッセージをお願いします。

　僕は地域みらい留学も地域みらい旅も行って本当に良かったと思っています。日本の地域には、自然に囲まれる素晴らしい環境があるし、田舎に憧れのようなものがある人には挑戦してほしいと思います。また、是非伝えたいことがあって、越境や旅をして地元を離れることで、地元の良さにも気付くことができることは魅力だということです。田舎もいいけど、東京も楽しいんだなと帰省した時には強く感じますね。2週間の帰省が本当に最高で、あっという間に感じますよ。