みらいハイスクールを主催する一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム(以下、CPF)は、経済産業省「未来の教室」実証事業2025の実証事業者として採択を受けています(※)。この実証事業で、みらいハイスクール構想の実現にも繋がる「みらいバディーズ」というプログラムを運営。卒業生と現役生をマッチングし、卒業生が現役生の受験や高校生活のサポートをする縁結びのプログラムです。
みらいバディーズを活用し、北海道幌加内高等学校(以下、幌加内高校)から法政大学に総合型選抜で合格した古川菜湖さん(以下、菜湖さん)と、菜湖さんのバディとしてサポートした現役法政大学生の山本琴璃(以下、琴璃さん)さんにインタビューを行いました。
(※)実証事業詳細【実証3】を記載したプレスリリース記事はこちら

幌加内での探究が学びたい進路に繋がった
―まずは菜湖さんが幌加内高校に地域留学しようと思った経緯を教えて下さい。
菜湖さん 埼玉県の出身なのですが、住んでいた場所は高速道路は走っていたり、人工的なものが多くて、もっと自然に近い環境で暮らしてみたいと思いました。また、もっと生徒同士はもちろん先生とも密なコミュニケーションの下で授業を受けられる少人数の環境がいいなと感じていたことも地域留学をするきっかけのひとつです。
―なぜ、幌加内高校だったのでしょうか。
菜湖さん 自分のイメージする少人数制の環境にピッタリきた感覚がありました。進路を見据えたときにも、生徒3人に対して先生が1名ついてくれているくらい手厚さがあり、安心できると感じたんです。あとは、幌加内高校の近くには朱鞠内湖という日本最大の人造湖があり、そうした資源がある中で働いている大人に惹かれたという側面もあります。コーディネーターの橋本さんという方は海外を旅したり、キャリアもとてもユニークで、個性ある人が自分らしくいられる町ってステキだなと感じました。
―では、幌加内高校でのどのような経験から法政大学を目指すことになったのでしょうか。
菜湖さん 大きなきっかけは授業で蕎麦打ちを経験したことと蕎麦打ちをする部活に入ったことです。幌加内町は蕎麦の生産が盛んで、幌加内高校で蕎麦を打つ経験ができるということは、地域産業や地域資源を守っていくという意味合いもあると思っています。
蕎麦に関心が高まったことで、探究活動では「蕎麦循環プロジェクト」を町や企業の方と連携して推進しました。蕎麦を生かした地域づくりをしたくて、廃棄されていく蕎麦を再利用して生かしていけないか。そんな風に考え、探究を進めていく過程で「価値はあるのに売れない、人に届かない」という経験をしたんです。こうしたことに対する研究や課題解決を考える先生が法政大学の現代福祉学部にいるということがわかり、ぜひそこで学びたいと考えるようになりました。

自分にできることは“自分の経験”を伝えることだ
―法政大学の入試はどのようなものだったのでしょうか。
菜湖さん 受験した入試方式は「まちづくりチャレンジ入試(自己推薦型)」というもので、一次審査が書類審査になっていて、通過できれば二次審査で小論文と面接を受けるという流れでした。
―その対策のためにみらいバディーズを活用してくれたと思いますが、どのようなきっかけでみらいバディーズを知ってくれたのでしょうか。
菜湖さん みらいバディーズを運営しているみらいハイスクール事務局の的場さんが声をかけてくれたことがきっかけです。一般入試ではないので、対策もどうしたいいんだろうと悩んでいたこともありました。そんな時に自分の目指す同大学同学部の先輩である琴璃さんと繋がることができたのはとてもありがたかったですね。
―琴璃さんはなぜみらいバディーズに登録して、後輩のサポートをしようと思ったのでしょうか。
琴璃さん 私は菜湖さんが合格した法政大学の現代福祉学部に同じく総合型選抜で合格しました。高校生だった当時、私立大学の総合型選抜だったこともあって学校のサポートもあまりなく、相談できる相手が塾の先生くらいでとても苦労した経験があるんです。実際に私立大学の総合型選抜を経験した先輩の声が聞けたらなと。無事、法政大学には合格できたものの、同じような苦労をしている高校生もきっと沢山いるんじゃないかと思い、私にサポートできることがあるなら力になりたいと考えて登録しました。
―お二人はどのように受験対策を進めたのでしょうか。
琴璃さん 菜湖さんの様子を見て、一から教えるということは必要なさそうだなと感じたことをよく覚えています。だから、菜湖さんが疑問に感じたことや聞いてみたいことに答えるというスタイルが多かったと思います。自分が菜湖さんに対してできることは“自分の経験”を伝えることだと感じたんです。
―菜湖さんにとって、自身の特性に気付いてくれる先輩だったのは心強いですね。
菜湖さん その通りだと思います。幌加内高校の手厚いサポートがあったうえで、信頼できる琴璃さんとのかけがえのない時間があったからこそ得られた合格!同じ大学に同じ入試方式で合格した先輩と話せたことは、大きな自信に繋がったと思っています。長時間、笑顔で話に付き合ってくれたことには本当に感謝です。

「私も頑張らなきゃ!」というパワーが溢れる感覚
―菜湖さんが琴璃さんから受けたアドバイスで印象に残っていることはありますか。
菜湖さん 面接対策をしているときに「逆質問をしてみるといいよ」というアドバイスをもらったときは目から鱗で。それまで受け身のスタンスでいた自分の面接対応を変えるきっかけになったんです。受験生側から問いかけをすることで意欲も見せられるし、印象にも残りそうだと思いました。
―経験した人ならではのアドバイスですね。
琴璃さん 自分が経験して、実際に生きたなと思うことはぜひ伝えたいなと思っていました。菜湖さん自身がすごく意欲的で、「応援したい」と思わせてくれる後輩だったということもとても大きかったんです。
―お互いの信頼関係を感じます。
琴璃さん 面接練習を何度かやっていく中で、私自身が元気をもらいました。菜湖さんの言葉を聞くと「私も頑張らなきゃ!」というパワーが溢れる感覚で。事務局の山本さんの研修もとても勉強になり、モチベーションアップのひとつになっていたと感じています。
―菜湖さんは法政大学に入学したら何が楽しみでしょうか。
菜湖さん これまでと違う学びを得られることへの期待と憧れの教授に会えるんだというワクワクがありますね。あと、琴璃さんがサポートしてくれたように私自身も何か後輩のサポートもできたらなという思いも高まっています。
幌加内町にも継続して関わりたいとも考えていて、課題もまだまだあるとは思っていますが、法政大学で学んだことをぜひ還元したい。すでに幌加内町の企業とインターンの相談もしています。
―盛り沢山ですね。
菜湖さん あともうひとつ。何より、ずっとオンラインでサポートしてくれていた琴璃さんと対面できることはとても楽しみです!
琴璃さん まだ実際には会っていないというのが不思議なくらいですが(笑)。私も菜湖さんに会えることがすごく楽しみ!
―あと数ヶ月でいよいよ対面!楽しみですね。今日はありがとうございました。
菜湖さん・琴璃さん ありがとうございました!
<「実証3:意志ある卒業生のバンキングを通じた教育への「恩送り」モデルの構築」の責任者 岡部有美子のコメント>
地方の小規模校においては、自分の進みたい大学・学部の先輩が必ずしも身近にいるとは限りません。そのような中で、みらいバディーズは大学生の先輩に話を聞きたい、受験対策をしたいといった潜在的な高校生のニーズに答える可能性を持っています。一方でバディとなる大学生たちは、あたたかな地域の中で育てられたことに対し、感謝の心を持った学生ばかりです。彼女たちの真摯な後輩たちへの恩送りが未来へと連鎖していく様子を今回は感じ取ることができうれしく思いました。
【関連リンク】
▶「未来の教室」採択リリース記事はこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000035136.html
▶経済産業省「未来の教室」実証事業のご紹介はこちら
https://www.learning-innovation.go.jp/about/
▶北海道幌加内高等学校のご紹介はこちら
https://c-mirai.jp/schools/a6359e34-4a6a-4cdf-a25d-3067139f247c
※北海道幌加内高等学校はみらいハイスクールの共創校ではありませんが、未来の教室実証事業におけるパートナー校として協力頂いております。
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